インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症
インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンなど、ワクチンの中には毎年の接種が推奨されているものもあります。その理由は、流行するウイルスの株が毎年変わるからです。ワクチンは、その年に流行が想定されるウイルスの株を予測して作られているのです。ここではインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症について、感染した時の症状、治療、予防方法を詳しく解説します。
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ここでは、ワクチン接種で予防できる主な感染症であるポリオ、百日咳、Hib(インフルエンザ菌b型)感染症、破傷風、ジフテリアについて、感染経路、感染した時の症状、治療、予防方法を詳しく解説します。
ポリオウイルスにより引き起こされる病気です。主に感染した人の便にいるウイルスが口から入り、のどや腸管の細胞に感染します。接触感染、および飛沫(ひまつ)感染により感染することもあります。
感染しても90%以上は無症状か軽症で、約5%の方では潜伏期間を経て、発熱、頭痛、のどの痛みなどかぜのような症状がみられます。さらに感染者の1~2%では発熱、吐き気、おう吐、項部硬直、手足の痛みを伴う髄膜炎がみられます。手足に左右非対称の弛緩性麻痺を起こし、後遺症として運動障害が残ることもあります。
抗体を持たない人が感染した場合、麻痺が発生する確率は0.1~2%といわれていますが、呼吸麻痺により命を落とすこともあります。また、麻痺性の急性灰白髄炎を発症した場合には、一般に2~5%のお子さんが亡くなってしまうといわれています。
便の中からウイルスを検出することで診断します。補助的手段として、血液検査を行うこともあります。
ポリオウイルスに対する特別な治療法はないため、症状に応じた治療を行います。
ポリオに有効なワクチンとして、不活化ポリオワクチン、5種混合ワクチンがあります。小児の場合は、標準的には5種混合ワクチンを生後2か月から計4回接種します。
成人の場合は不活化ポリオワクチンを接種します。ワクチン接種により多くの方がポリオに対する十分な抗体を獲得するといわれています。
1960年頃までは国内でもみられた感染症でしたが、ワクチンの普及により患者さんの数が減少し、1980年以降は野生株ポリオウイルスによって麻痺になった患者さんの報告はありません。ただし、海外では流行している地域があり、ウイルスが国内に持ち込まれる可能性があるため、予防接種を受けて免疫をつけておくことが大切です。
百日咳菌により引き起こされる病気です。咳やくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染、または手などを介した接触感染により感染が広がります。赤ちゃんは家族から感染するケースが多いです。
7~10日程度の潜伏期間の後、かぜのような症状がみられ、続いて激しい咳が出るようになります。
成人の場合は、咳が長く続きますが軽症ですむことが多いといわれています。しかし、1歳以下の乳児、特に生後6か月以下の乳児では重症化しやすいとされており、まれに亡くなることもある病気です。咳のために呼吸ができなくなり、全身が青紫色になってしまうチアノーゼや、けいれんを起こす場合、肺炎や脳症などを合併する場合もあります。
のどや鼻の奥をぬぐって菌がいるかどうかを調べる方法や、採血による検査などにより診断します。
百日咳菌に有効な抗菌薬による治療を行います。
百日咳菌に対するワクチンが、5種混合ワクチン、3種混合(DPT)ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風混合ワクチン)に含まれています。小児の場合は、標準的には5種混合ワクチンを生後2か月から計4回接種します。
成人の場合は3種混合(DPT)ワクチンを接種します。手洗いや咳エチケットも有効です。

ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌により引き起こされる病気です。咳やくしゃみの飛沫(ひまつ)や、手などを介した接触により感染し、鼻咽腔(鼻の奥から喉の上部)で増殖した菌が、血液の中に侵入すると重い感染症を起こします。
症状がないまま鼻や喉に菌を保有して日常生活を送っているお子さんも多くいます。
Hib(インフルエンザ菌b型)感染症を発症すると、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎などの重篤な病気を引き起こすことがあり、時に亡くなることもある病気です。特に、髄膜炎を起こした場合、20%の方で難聴などの後遺症を残すといわれています。
髄液や血液などの検体から、菌を分離、同定、または遺伝子検出を行うことで診断します。
治療は抗菌薬による治療を行います。
Hib(インフルエンザ菌b型)感染症の予防に有効なワクチンが、5種混合ワクチンに含まれています。生後2か月から計4回接種します。ワクチン接種により、Hib(インフルエンザ菌b型)による髄膜炎や髄膜炎以外の侵襲性感染症に罹るリスクを減少させる効果が期待できます。
手洗いや咳エチケットなどの感染対策も有効です。
破傷風菌が産生する神経毒素によって引き起こされる病気です。土の中などにいる細菌が、けがなどの傷口から体内に入って感染します。人から人には感染しません。
潜伏期間は、3~21日(平均10日)です。発症すると、神経毒素によって、口が開きづらい、顔のけいれん、あごが疲れる、うまく飲み込めないといった症状が現れます。呼吸困難、歩行や排尿、排便の障害などがみられることもあります。
全身の筋肉が固くなって体を弓のように反り返らせたり、呼吸筋の麻痺により息ができなくなったりして、命を落とすこともあります。
症状をもとに診断されます。血液検査での診断は難しく、傷口の培養検査は感度や特異度が低いとされています。
毒素を中和する薬や抗菌薬による治療のほか、傷口が確認できれば洗って異物などを取り除き、必要な場合は切除します。人工呼吸器による呼吸管理や抗けいれん薬により、経過観察しながら、症状に応じた治療を行います。
破傷風の予防に有効なワクチンが開発されており、5種混合ワクチン、3種混合(DPT)ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風混合ワクチン)、2種混合(DT)ワクチン(ジフテリア、破傷風混合ワクチン)、破傷風トキソイドワクチンがあります。
小児の場合は、標準的には5種混合ワクチンを生後2か月から計4回接種します。追加で11~12歳までの間に2種混合(DT)ワクチンを1回接種します。
成人の場合は、5種混合ワクチン以外のワクチンを接種します。ワクチンの接種歴などにより接種回数が異なりますので、医療機関に相談しましょう。
破傷風は、自然に免疫がつくことはありません。
ワクチン接種により、ほとんどの方が破傷風に対する十分な抗体を獲得すると報告されています。
けがをした場合には、土壌などに汚染された傷をすぐに流水でしっかりと洗うことが重要です。傷口の状態やワクチンの接種歴によっては、破傷風発症予防のための処置が必要な場合があります。土などで汚れた場所でケガをした場合や深い傷の場合は、医療機関を受診しましょう。
毒素を産生するジフテリア菌により引き起こされる病気です。咳やくしゃみの飛沫(ひまつ)、手などを介した接触により感染します。
症状が現れる部位によって分類され、呼吸器ジフテリアを発症すると、発熱やのどの痛み、のどに白い膜の形成、声がれなどがみられます。皮膚ジフテリアでは皮膚の赤みやただれなどの症状がみられます。
呼吸器ジフテリアが重症になると、気道閉塞や特徴的な首のふくらみがみられます。ジフテリア菌が産生する毒素により、心筋炎や神経麻痺など全身の合併症を起こすことがあります。ジフテリアにかかった場合、一般に10%程度の方が亡くなってしまうといわれています。特に5歳以下のお子さんや40歳以上の方は重症化しやすいといわれています。
喉をこすって採取した検体や鼻水、皮膚の病変部位からジフテリア菌を分離して確認する方法や、ジフテリア毒素の遺伝子を検出する方法などが診断に用いられます。
ジフテリア菌に有効な抗菌薬や、抗毒素による治療を行います。
ジフテリアの予防に有効なワクチンが開発されており、5種混合ワクチン、3種混合(DPT)ワクチン(百日咳、ジフテリア、破傷風混合ワクチン)、2種混合(DT)ワクチン(ジフテリア、破傷風混合ワクチン)があります。
小児の場合は、標準的には5種混合ワクチンを生後2か月から計4回接種します。追加で11~12歳までの間にDTワクチンを1回接種します。
成人の場合は、5種混合ワクチン以外のワクチンを接種します。
ワクチン接種により、ジフテリアの罹患リスクを大きく減らすことができるといわれています。
マスクの着用など基本的な感染対策も大切です。