麻しん(はしか)、風しん、おたふくかぜ、水痘(水ぼうそう)、日本脳炎

麻しん(はしか)、風しん、おたふくかぜ、水痘(水ぼうそう)、日本脳炎

ここでは、ワクチン接種で予防できる主な感染症である麻しん(はしか)、風しん、おたふくかぜ(ムンプス、流行性耳下腺炎)、水痘(みずぼうそう)、日本脳炎について、感染経路、感染した時の症状、治療、予防方法を詳しく解説します。

目次

麻しん(はしか)

感染経路と病態、主な症状

麻しんウイルスによって引き起こされる病気です。麻しんの原因となる麻しんウイルスは非常に強い感染力をもち、空気感染、飛沫(ひまつ)感染、接触感染と、あらゆる経路で広がります。
免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症します。麻しんウイルスに感染すると、約10日後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れ、熱が数日続いた後、39℃以上の高熱と発疹がみられます。

重症化した場合はどうなるの

合併しやすい病気として肺炎、中耳炎があります。さらに、約1,000人に1人の割合で脳炎を発症すると言われています。死亡する割合も、先進国であっても1,000人に1人と言われています。その他の合併症として、発生頻度は10万人に1人ほどとされていますが、麻しんウイルスに感染した後、数年から十数年を経て亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という中枢神経系の病気を発症する場合があります。特に、2歳未満で麻しんにかかった場合は、SSPEを発症する危険性が高まるとされています1)

診断と治療方法

体の中にウイルスが存在するか、それに対する反応(抗体)があるかを確認して診断します。
特別な治療方法はないため、発熱に対する解熱剤など症状に応じた治療を行います。

予防

麻しんに有効なワクチンとして、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)と麻しんワクチンがあります。小児の場合は、標準的にはMRワクチンを1歳で1回目、小学校入学前(5~6歳)で2回目を接種します。
成人の場合はMRワクチンもしくは麻しんワクチンを接種します。
MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)を接種することによって、ほとんどの人が麻しんウイルスと風しんウイルスに対する免疫をつけることができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫がつかなかった方の多くに免疫をつけることができます。
感染力が強く、空気感染もするため、手洗いやマスクのみでは予防できないとされているため、最も有効な予防法は麻しん含有ワクチンを接種することです。

風しん

感染経路と病態、主な症状

風しんウイルスにより引き起こされる病気です。咳やくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染、または手などを介した接触感染により感染が広がります。発疹が出る前後1週間はウイルスが排出されるため、発症前から感染力があります。
発熱、全身の小さな赤い発疹、リンパの腫れの3つが特徴的な症状です。発熱と発疹は数日で消失しますが、リンパ節の腫れは3~6週間ほど続きます。
また、風しんに対する免疫が不十分な女性が妊娠20週頃までに風しんウイルスに感染すると、おなかの赤ちゃんが先天性風しん症候群(先天性心疾患や難聴、白内障などの先天異常を含む、様々な症状を発症する病気)を発症する原因となるといわれています。

重症化した場合はどうなるの

脳炎や血小板が一時的に減ってあざができやすくなる病気(血小板減少性紫斑病:けっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)などの合併症を引き起こし、入院治療が必要となるケースもあります。

診断と治療方法

体の中にウイルスそのものがあるか、感染したときに出る抗体があるか、時間をあけて抗体が増えているかなどを調べて確認します。
特別な治療方法はないため、発熱に対する解熱剤など症状に応じた治療を行います。

予防

風しんに有効なワクチンとして、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)と風しんワクチンがあります。小児の場合は、標準的にはMRワクチンを1歳で1回目、小学校入学前(5~6歳)で2回目を接種します。
成人の場合はMRワクチンもしくは風しんワクチンを接種します。
MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)を接種することによって、ほとんどの人が麻しんウイルスと風しんウイルスに対する免疫をつけることができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫がつかなかった方の多くに免疫をつけることができます。
ワクチン以外の予防法として、マスクや手洗いの徹底、流行している地域では不要不急の外出や人混みを避けることが大切です。

おたふくかぜ(ムンプス、流行性耳下腺炎)

感染経路と病態、主な症状

ムンプスウイルスにより引き起こされる病気で、両耳の下部にある耳下腺が腫れる症状が特徴的なため「流行性耳下腺炎」とも呼称されます。感染経路は、咳やくしゃみによる飛沫(ひまつ)感染、または手などを介した接触感染です。ムンプスウイルスの感染力は強く、周りの人に感染させる可能性がある期間は耳の下の腫れなどの症状がでる6日前から、症状がでてからほぼ5日経過するまでとされています。
2~3週間ほどの潜伏期間の後、耳の下やほほの腫れと痛み、あごの痛み、発熱などがみられ、通常1~2週間で軽快します。

重症化した場合はどうなるの

無菌性髄膜炎や難聴があり、特に難聴は頻度は少ないものの、永続的な障害になるとされています。また思春期以降では、男性で精巣炎、女性で卵巣炎などの合併症を起こすことがあります。まれな合併症として膵炎を起こすこともあります。

診断と治療方法

通常は、症状や診察結果をもとに診断します。確定診断には、ウイルスやウイルスの遺伝子、抗体を調べる検査が行われます。
おたふくかぜに特別な治療方法はないため、経過観察しながら症状に応じた治療を行います。

予防

おたふくかぜワクチンは、任意接種として1歳以上の方が接種できます。ワクチンの接種について、日本小児科学会は2回の接種(1回目は1歳になったら早めに、2回目は小学校入学前に)を推奨しています1)
手洗いやマスク、咳エチケットも予防に有効です。

水痘(みずぼうそう)

感染経路と病態、主な症状

水痘(すいとう)とは、いわゆる「みずぼうそう」のことで、水痘・帯状疱疹ウイルスにより引き起こされる病気です。空気感染、飛沫(ひまつ)感染、接触感染と、あらゆる経路で広がり、感染力が非常に強く家庭内接触での発症率は90%といわれています。お子さんに多い病気で、9歳以下での発症が90%以上を占めると言われています。
感染から2週間程度(10日~21日)の潜伏期間があり、発疹が現れる前から発熱がみられることもあります。発疹は、皮膚が赤くなることから始まって、水ぶくれが全身に広がり、粘度のある液体が含まれる水ぶくれとなった後、かさぶたになって治癒するとされています。

重症化した場合はどうなるの

お子さんの発症では、皮膚の二次性細菌感染、脱水、肺炎、髄膜炎、脳炎などの合併症を引き起こすことがあります。大人が水痘を発症すると、水痘そのものが重症化するリスクが高いと言われています。

診断と治療方法

通常は、症状をもとに診断されます。確定診断のために、水ぶくれの中にウイルスが含まれているか調べる検査法などがあります。
一般的な治療方法は、抗ウイルス薬と発疹に対する塗り薬です。

予防

水痘ワクチンは1歳以上の方が接種できます。小児の場合は、標準的には生後12か月~36か月の間に2回の接種を行います。1回の接種により重症の水痘をほぼ予防でき、2回の接種により軽症の水痘も含めてその発症を予防できると考えられています。
家庭内での感染を防ぐために、水ぶくれに触れないことや、十分な手洗いの励行、タオルの共用を避けるなどの対策も重要です。

日本脳炎

感染経路と病態、主な症状

日本脳炎ウイルスにより引き起こされる病気です。感染したブタを吸血した蚊によって人に感染します。人から人には感染しません。最近の報告患者数は年間10人以下と少ないですが、毎夏日本脳炎ウイルスを持った蚊は発生しており、国内でも感染の機会はなくなっていません。
感染しても症状が現れない場合がほとんどです。発症する場合は、6~16日間の潜伏期間の後に突然の高熱、頭痛、おう吐などがみられ、引き続き急激に意識障害、けいれん、光への過敏症など脳の障害が起こります。

重症化した場合はどうなるの

お子さんが発症すると、けいれんや麻痺、精神発達遅滞、精神障害など重度の障害が残ることが多いとされています。命を落とすこともある病気です。

診断と治療方法

日本脳炎が疑われた場合は、脳と脊髄の周囲にある髄液からウイルスを検出したり、血液に含まれる抗体の量を調べます。
日本脳炎について、特別な治療方法はないため、症状に応じた治療を行います。高熱とけいれんへの治療が重要とされています。

予防

日本脳炎ワクチンは、小児の場合は標準的には1期目の接種として、3歳で2回、4歳で1回の合計3回を接種し、2期目の接種として、9歳で1回の追加接種を行います。ワクチン接種により、日本脳炎の罹患(りかん)リスクを減らすことができると報告されています。
毎年810月に、ウイルスを持った蚊に刺されて発症していることから、刺されない工夫が必要です。夏はなるべく夜間の外出を控えたり、虫よけスプレーを使用したり、屋外ではできるだけ長ズボンを身につけるなどの対策が、地域によっては必要です。

参考文献

  • 1)日本小児科学会 おたふくかぜワクチン接種回数に関するお願い https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=370

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