インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症
インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンなど、ワクチンの中には毎年の接種が推奨されているものもあります。その理由は、流行するウイルスの株が毎年変わるからです。ワクチンは、その年に流行が想定されるウイルスの株を予測して作られているのです。ここではインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症について、感染した時の症状、治療、予防方法を詳しく解説します。
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ここでは、ワクチン接種で予防できる主な感染症であるヒトパピローマウイルス感染症、RSウイルス感染症、帯状疱疹について、感染経路、感染した時の症状、治療、予防方法を詳しく解説します。
ヒトパピローマウイルス(HPV)により引き起こされる病気です。HPVは皮膚や粘膜に感染するウイルスで、主に性的接触を通じて感染し、性的接触のある女性では50%以上が生涯で一度は感染するとされています。
HPVに感染してもウイルスが自然に排除されることが多いですが、そのまま体内にとどまることもあります。長い間排除されず感染したままでいると、子宮頸がんになることがあると報告されています。
HPVには200以上の種類があり、少なくとも15種類が子宮頸がんの患者さんから検出され「高リスク型HPV」と呼ばれています。
子宮頸がんは初期には自覚症状がないことが多いですが、生理時以外の出血(不正出血)や性行為による出血、おりものの増加などがみられることがあります。進行すると下腹部や腰の痛み、血の混じった尿がみられることもあります。
そして、高リスク型HPVは子宮頸がん以外に、肛門がんや膣がん、中咽頭がん、陰茎がん、外陰がんなどにも関わっていると考えられています。
子宮頸がんは、早期に発見されれば治療により比較的治癒しやすいがんとされていますが、他のがんと同じように発見が遅くなると治療が難しくなります。
進行すると、リンパ節に転移したり、子宮頸部の周りの組織に広がったり、子宮から離れた肺などに転移したりすることがあります。
まずは子宮頸部の細胞を採取して異常な細胞の有無を確認し、結果によっては高リスク型HPVの感染を確認する検査を行います。がんなどの疑いがある場合には、病変が疑われる部分の組織を調べる検査を行って診断されます。
子宮頸がんの治療には、手術、放射線治療、薬物治療があります。がんの進行の程度やがんの性質、体の状態などをもとに治療方法を検討します。
子宮頸がんの予防方法には、HPVワクチンを接種して感染を予防することが挙げられます。小学校6年から高校1年の女子を対象に、定期接種が行われています。
複数種類のワクチンがありますが、わが国の定期接種で使われるワクチンは、2026年4月から9価ワクチンのみとなりました。接種開始年齢によって2回または3回接種します。
定期接種対象外の女性や男性も任意接種として接種が可能なワクチンです。
子宮頸がんは少しずつ進行していくため、定期的に子宮頸がん検診を受けて早期発見、早期治療に努めることも重要です。
RSウイルスにより引き起こされる病気です。咳やくしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染と、手などを介した接触感染により感染します。
感染すると、2~8日の潜伏期の後、発熱や鼻水、咳など風邪のような症状が数日続き、多くはそのまま自然と軽快しますが、場合によっては気管支炎や肺炎などの症状が現れます。
乳幼児に多い感染症で、生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%の乳幼児が少なくとも一度は感染するとされています。RSウイルス感染症は生涯にわたって何度も感染と発症を繰り返すため、乳幼児だけでなく大人も注意が必要です。特に高齢者では加齢に伴う免疫機能低下等のため重症化リスクが高く、基礎疾患のある高齢者ではより重症化するリスクが高いといわれています。
初回感染時は、より重症化しやすいといわれています。特に生後6か月以内に感染した場合には、細気管支炎や肺炎を起こすなど重症化することがあります。その他に、重篤な合併症として中耳炎、無呼吸発作、急性脳症などに注意が必要です。
また、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患のある高齢者では急性の重症肺炎を起こすことが知られています。
鼻やのどから採取した分泌物を使って、ウイルスの存在を確認したり、ウイルスの遺伝子を検出したりする方法を診断に用います。
特別な治療方法はないため、経過観察しながら症状に応じた治療を行います。重症化した場合には、酸素投与や点滴、呼吸管理などを行います。
予防するためのワクチンには、60歳以上および50歳以上のRSウイルスによる感染症が重症化するリスクが高いと考えられる方を対象としたワクチンと、生まれてくる子どもの予防を目的とした妊婦さんを対象としたワクチンがあります。いずれも1回接種します。
60歳以上および50歳以上の重症化リスクが高い方を対象としたワクチンは、RSウイルス感染症の流行するピークが毎年変動しているため、高齢者が希望したタイミングで接種が可能です。
妊婦さんを対象としたワクチンは、妊娠24~36週(中でも28~36週推奨)に接種が推奨されています。
わが国でも2026年4月から、妊娠28~36週の妊婦さんを対象としたRSウイルスワクチンが定期A類接種となりました。妊婦さんの免疫力を高めて、子に移行する免疫(移行抗体)で生まれて間もない赤ちゃんをRSウイルス感染症から守ることが目的です(母子免疫ワクチン)。
早産で生まれた赤ちゃんや対象となる病気を持っているお子さんを対象とした、RSウイルス感染症による重篤な肺炎などの発症を抑制する目的のお薬(抗体製剤)もあります。
一般的な予防手段としては、日常的に触れるもの(おもちゃや手すりなど)はこまめにアルコールや塩素系の消毒剤などで消毒しましょう。流水と石けんによる手洗い、またはアルコールによる手指の消毒も重要です。マスクの使用や咳エチケットも予防に有効です。

帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスにより引き起こされる病気で、水痘(みずぼうそう)にかかった後に体の中に潜伏したウイルスが再活性化することにより発症します。加齢や免疫抑制などの原因により、免疫力が低下した場合にウイルスが再活性化します。70歳代で発症する方が最も多いとされています。
発症すると、神経に沿って、典型的には体の左右どちらかに帯状に、時に痛みを伴う水ぶくれが3~4週間ほど続きます。
皮膚の症状が治った後も神経痛が残り(帯状疱疹後神経痛)、日常生活に支障をきたすことがあります。帯状疱疹が発生した部位によっては、視力低下や失明、Ramsay-Hunt症候群(耳介部の水疱形成、顔面神経麻痺、難聴、めまい)などの合併症がみられることがあります。
帯状疱疹の典型的な症状がみられている場合は症状のみで診断可能とされています。ウイルスそのものの分離や、ウイルス抗原や遺伝子の検出などの検査法も確立されています。
抗ヘルペスウイルス薬による治療が基本です。帯状疱疹後神経痛には根本的な治療方法がなく、ときには何年も強い痛みが残ってしまうことがあります。痛みが強い場合には神経ブロックという注射による治療が行われることもあります。
帯状疱疹やその合併症を予防するワクチンがあります。その年度に65歳を迎える(迎えた)方、60~64歳でヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方は定期接種の対象です。なお、2025年度から2029年度までの5年間の経過措置として、その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳(2025年度のみ)となる方も対象となります。
帯状疱疹の発症には、免疫機能の低下が関係していることが知られているため、日頃から十分な休息、疲労やストレスのない規則正しい生活を送ることが大切です。
帯状疱疹ワクチンには「水痘ワクチン」と「乾燥組換え帯状疱疹ワクチン」の2種類があり、いずれか1種類を接種します。
ワクチンの種類によって接種の回数や接種方法、スケジュールなどが異なります。
水痘ワクチンは1回接種します。
乾燥組換え帯状疱疹ワクチンは、2か月以上の間隔をあけて2回接種するのが標準的なスケジュールです。